1週間遅れの月曜日。
検査の結果、
治療をはじめても問題ないと言うことになり、
いよいよこの日から治療開始である。
まずはこれを飲んでくださいと
吐気止めを渡される。
そしていよいよ点滴開始。
投与される薬剤は
エピルビシンとサイクロフォスファミドの2種類。
点滴を受けてる間、
備え付けのテレビを見てもいいし、
音楽を聴いたり、
読書をしたりしてもいいと言われてる。
なので、この日は梨木香歩さんの
本を持っていってた。
四季の野鳥と植物をめぐる随筆集である。
母の友に連載されていたものだそうだ。
まず梨木さんの野鳥と植物に関する話が載っていて、
ユカワアツコさんという方が
引き出しの中に野鳥の絵を描かれたものを、
写真家の長島有里枝さんという方が、
家のどこかに立てかけて写真を撮っているという
少し変わった体裁の本だ。
帯には
「これは新しい形のバードウォッチングではないかと思った。
アウトドアとは無関係の、ごく個人的な内界を覗き込むー」
とある。
ちなみに筆頭に出てくるのはツグミだ。
やっぱりぐずぐず北へ帰らないこと、
梨木さんも指摘していたので、
思わずクスリと笑ってしまった。
けれど、いざ抗がん剤が身体に入ってきたら
頭がガンガンする。
とてもじゃないけど読書する気力が失せて、
結局、読めたのは数ページ。
あとは目を閉じて、じっと時が過ぎるのを待つ。
お昼には点滴が終わり、
薬の処方箋を院外薬局に送って
お昼を買って、仕事に行った。
今日はまだ元気。
「点滴の終わったら、仕事に行きます」って
先生に言ったら、ちょっとびっくりされて
笑顔で「お疲れ様です」と言われた。